2018年12月10日

カンムリウミスズメ人工巣設置作業に行ってきました!

11月26日(月)、希少鳥類の調査・保護に携わる部署の手伝いとして、カンムリウミスズメ人工巣設置作業に行ってきました。
場所は伊豆半島南端の沖合にある神子元島(みこもとじま)。無人島です。
今回は共同研究をしている帝京科学大学の先生と学生さんを含め、総勢8名で向かいました。作業に必要な道具類を一人5キロくらいずつ分担して持ち、船に乗り込んで朝6時に出港。
数日前に台風の発生がありましたが、幸い船の出航には影響ありませんでした。むしろ風が弱く、あたたかく感じる日和でした。
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島につくと船の先端を岩場に押しつけ、そこから島に上陸します。
カナヅチの私は海に落ちないかちょっとドキドキ…。
神子元島には船着場もあるのですが、風向きにより発着場所が変わるそうで、今回は船着場ではない場所だったのです。
無人島の神子元島には、現存する日本最古の洋式石造灯台があります。その灯台の先端にハヤブサのペアが。
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左の小さいのがオス、右がメス。島の上空を何度も飛び、肉眼でも顔の模様がはっきり見えました。こんなに間近でハヤブサを見たのは初めてです。

さて、仕事に戻ります。まずは持ってきた部品を組み合わせて巣箱を組み立て、その間に担当者が設置場所を決めます。
カンムリウミスズメは崖の岩の隙間などに巣をつくります。
昨年あった岩場は台風の影響で壊れて崩れ落ちていました。自然の力って恐ろしい…。
こうやって岩場が崩れてカンムリウミスズメが繁殖に利用できる場所がなくなったり、うまく崩れれば逆にいい隙間が出来たりするようです。
設置場所が決まったらいよいよ巣箱の設置です。これが大変。
いかに島の一部にカモフラージュ出来るか。島内の石を運んで巣を覆い、自然な岩の割れ目のようにします。

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上の画像の中に人工巣はいくつあるでしょう?うまくカモフラージュできているでしょうか…。

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完成のアップはこんな感じ。奥と手前に2巣写っています。

設置作業を終えたあと、過去に使われた自然の巣穴を見せていただきましたが、どこが入口で中がどうなっているのか、外から見ただけでは全くわかりませんでした。

そしてこちらの写真、崖の上に巣穴があるのですが、カンムリウミスズメは孵化すると1〜2日で、海上から親に呼ばれて自ら海へ出て行きます。
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…この感じからすると、この断崖から海に落ちるのか…?人間だったら自殺行為だけれども、落下の衝撃で怪我しないのだろうか…。生まれてすぐに試練が待ち受けているカンムリウミスズメのヒナ。野生の世界は人間の世界よりはるかに過酷なのかもしれません。

神子元島では、カンムリウミスズメは3月頃に繁殖を始めます。自然の巣があるのが一番ですが、今回設置した人工巣がカンムリウミスズメの繁殖に役立つと嬉しいです。
(※繁殖期の営巣地への立ち入りはご遠慮ください。人の立ち入りが起きると繁殖を放棄してしまうことがありますので、遠くから見守ってあげてください。)

日本野鳥の会のカンムリウミスズメ保護活動はこちら
Twitter https://twitter.com/hozen6?lang=ja
HP https://www.wbsj.org/nature/kisyou/sw/

以上、スタッフHでした。



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2018年08月28日

新人スタッフとチュウヒ調査

こんにちは。
今年の春から働き始めました スタッフMKです!よろしくお願いします。
さっそくですが、やっと職場の雰囲気に慣れてきたこの頃…
新人研修として
日本野鳥の会自然保護事業の一端を体験し、さらなる理解を深めるために
7月某日、北海道のサロベツ湿原 チュウヒ繁殖・生息調査の補助に行ってきました。

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当会では平成19年度より、絶滅の恐れのある種(レッドデータ種)の現状について情報を収集するとともに、従来からあまりデータのない特定種の生息分布や繁殖状況、生息環境等に関して、調査を進めています。
この特定種としてチュウヒの情報収集と調査を行なっています。
チュウヒは以前絶滅危惧U類の鳥でしたが、2006年12月に発表された環境省のレッドデータリストでは絶滅危惧TB類(近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの)となり、近年はさらに生息状況が悪化したとされています。
チュウヒってどんな鳥?
https://www.wbsj.org/activity/conservation/endangered-species/cs_hog/cs_whatis/

チュウヒの繁殖環境を明らかにし、生息環境保全の基礎資料を作成するために、予め現地の方がつけた定点から望遠鏡や双眼鏡を用いて展望台などから静かに観察。チュウヒには内緒で見るので、こっそりです。

初めて観察するチュウヒ。他のタカ類より大きめな翼を持つ凛々しさに対し顔立ちはかわいらしいものでした。
双眼鏡を使い注意深く観察をしていると、さすがの視力から、超遠距離にもかかわらずこちらを完全に把握され目が合います。(もちろん影響の少ない距離を置いてます)
今思い返すと気のせいだったかもしれません。アイドルのコンサートで目が合ったとはしゃいでも、アイドル本人は認識していないあの現象のようです。

そしてチュウヒの特徴のひとつ、横顔はタカに似ているのですが、正面から見た顔がまるでフクロウのように平らでかわいい。どうやらそのお顔のお陰で耳が良いとも言われています。

観察ポイントは主にチュウヒの行動です。
例えば飛び方、餌を探しているとき上昇気流に乗りほとんど羽ばたかずグライドし顔は真下を見て低空飛行する姿や、餌を得たあと餌を掴んだ足がぷらーんと出ていて前を向いてまっすぐ飛んでいる姿など見逃さないようにしました。それを追えばメスにたどり着き、メスを追えば巣がわかります。

メスは巣から少し離れたポイントで(特定を防ぐために)見張りを続け、オスは狩りに出かけています。
捕ってきたネズミなどの餌はメスに合図をしたのち上空から投げ空中キャッチ!
それが一瞬の出来事にもかかわらずとてもダイナミックなものに写りました。
息をぴったり合わせて餌渡し。夫婦愛を感じます…

このように繁殖や行動を調べ、地域によって生息場所の状況が違うチュウヒがどのような環境を好むのかを明らかにしなければなりません。
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↗これは望遠鏡(60倍)越しにスマートフォンで撮影したチュウヒのメスです!
同じ場所に20分ほどまったく動かず留まっていました。(このあとオスがきて一緒にどこかへ飛んでいきました)

我々はだいたい朝5時くらいからお昼の1時過ぎまで、観察をしました。
ずっとチュウヒが飛び続けているわけではなく、7~8時間のうち多くて20回くらい会えるペースです。場所や天候によっては一度も現れないことも。
一瞬たりとも休めずひたすら探しましたので、初めて調査をした私でさえ4日目、5日目には瞳に付いたホコリくらいのサイズのチュウヒを見つけることができるようになり、暫く追っては記録を繰り返し続けました。

狭い場所で身動きもせず同じことを何日も続けたせいか帰るころには足腰がバキバキでした。
しかしまた、来年もチュウヒが同じ場所で暮らせますように
私はグッズ販売のお仕事ですが北海道サロベツ湿地で見た豊かな自然を思い出すと
再び自分の仕事のやりがいを感じれる、そんな貴重な体験ができました。

次にどこかでまたチュウヒを見かけたらきっとすぐチュウヒがわかると思います。



posted by Wild Bird at 13:48| スタッフの活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月20日

佐賀番外編:おいしいものだらけ!

前回のブログで、佐賀のYoung探鳥会やツバメのねぐら入りをご報告しましたが、最後は思いっきり番外編の「グルメ」です。

出発前、上司(ワイルドS)に「呼子イカは食えよ!」とおすすめ店を教えてもらった私の今回の目標は、下記のとおり。
*呼子イカを食べる
*ムツゴロウとワラスボを食べる
*佐賀牛を食べる

まずは呼子イカ!と、今回の探鳥会リーダーNさんに相談したところ、なんとその日の夜に食べに行くとのこと。
というわけで便乗させていただき、念願の呼子イカの活け造りです。
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驚くべきは、その透きとおる身!
そして暴れる足!(新鮮そのもの)
コリコリとしてみずみずしく、ほんのり甘いイカに、とろける一同…
そして、天ぷらがさらなる絶品!

あまりの美味しさに、
翌日のお昼ご飯でも食べる私たちなのでした。

お次は、佐賀名物イカシュウマイ。
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ほわほわクリーミーで、ふわっと甘いイカの味。
帰るやいなや、お取り寄せしました。

そして、2日目の夜・・・
実は4年越しの夢だった彼らとご対面。
「ムツゴロウ」と、
mutsu.JPG

有明海のエイリアン「ワラスボ」です。(歯並びがひどい)
warasubo.JPG

おぉ・・・と少し言葉を失う、私と室長富岡。
しかし、とまどう私を横目に、ムツゴロウを頭からがぶりと食べる室長。さすが、長年の経験が違います。
ちなみに、昼間見たムツゴロウはこちら。
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稚魚がたくさんいる時期なので、2cmほどの小さなムツゴロウやトビハゼを、トウネンが追いかけていました!

そのほか、
佐賀牛の佐世保バーガー
有明海の特産魚エツ
ウミタケ(貝)
などなど、佐賀グルメに舌鼓をうった私たちですが
意外性ナンバーワンはこちら。

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海苔ソフト!

ご当地もののおふざけメニューかな?と失礼すぎるイメージで購入したのですが、
これが、まさかの、美味!!
なぜミルクと海苔がこんなに合うのかわからない…
優しいミルクの味を邪魔しないながらも、ちゃんと香る海苔の風味。
「なぜミニサイズにしたんだぁ!」と後悔しながら、お店をあとにしました。

佐賀ではありませんが、有明海の食品や
野鳥の暮らす環境でつくられた食品は、
野鳥の会でも取り扱っています。
みなさん、ぜひチェックしてくださいね!
http://www.birdshop.jp/fs/wildbird/foods1/gd3730
http://www.birdshop.jp/fs/wildbird/c/foods1/

スタッフSSでした。
posted by Wild Bird at 12:32| スタッフの活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする