場所は伊豆半島南端の沖合にある神子元島(みこもとじま)。無人島です。
今回は共同研究をしている帝京科学大学の先生と学生さんを含め、総勢8名で向かいました。作業に必要な道具類を一人5キロくらいずつ分担して持ち、船に乗り込んで朝6時に出港。
数日前に台風の発生がありましたが、幸い船の出航には影響ありませんでした。むしろ風が弱く、あたたかく感じる日和でした。
島につくと船の先端を岩場に押しつけ、そこから島に上陸します。
カナヅチの私は海に落ちないかちょっとドキドキ…。
神子元島には船着場もあるのですが、風向きにより発着場所が変わるそうで、今回は船着場ではない場所だったのです。
無人島の神子元島には、現存する日本最古の洋式石造灯台があります。その灯台の先端にハヤブサのペアが。
左の小さいのがオス、右がメス。島の上空を何度も飛び、肉眼でも顔の模様がはっきり見えました。こんなに間近でハヤブサを見たのは初めてです。
さて、仕事に戻ります。まずは持ってきた部品を組み合わせて巣箱を組み立て、その間に担当者が設置場所を決めます。
カンムリウミスズメは崖の岩の隙間などに巣をつくります。
昨年あった岩場は台風の影響で壊れて崩れ落ちていました。自然の力って恐ろしい…。
こうやって岩場が崩れてカンムリウミスズメが繁殖に利用できる場所がなくなったり、うまく崩れれば逆にいい隙間が出来たりするようです。
設置場所が決まったらいよいよ巣箱の設置です。これが大変。
いかに島の一部にカモフラージュ出来るか。島内の石を運んで巣を覆い、自然な岩の割れ目のようにします。
上の画像の中に人工巣はいくつあるでしょう?うまくカモフラージュできているでしょうか…。
完成のアップはこんな感じ。奥と手前に2巣写っています。
設置作業を終えたあと、過去に使われた自然の巣穴を見せていただきましたが、どこが入口で中がどうなっているのか、外から見ただけでは全くわかりませんでした。
そしてこちらの写真、崖の上に巣穴があるのですが、カンムリウミスズメは孵化すると1〜2日で、海上から親に呼ばれて自ら海へ出て行きます。
…この感じからすると、この断崖から海に落ちるのか…?人間だったら自殺行為だけれども、落下の衝撃で怪我しないのだろうか…。生まれてすぐに試練が待ち受けているカンムリウミスズメのヒナ。野生の世界は人間の世界よりはるかに過酷なのかもしれません。
神子元島では、カンムリウミスズメは3月頃に繁殖を始めます。自然の巣があるのが一番ですが、今回設置した人工巣がカンムリウミスズメの繁殖に役立つと嬉しいです。
(※繁殖期の営巣地への立ち入りはご遠慮ください。人の立ち入りが起きると繁殖を放棄してしまうことがありますので、遠くから見守ってあげてください。)
日本野鳥の会のカンムリウミスズメ保護活動はこちら
Twitter https://twitter.com/hozen6?lang=ja
HP https://www.wbsj.org/nature/kisyou/sw/
以上、スタッフHでした。