2018年08月28日

新人スタッフとチュウヒ調査

こんにちは。
今年の春から働き始めました スタッフMKです!よろしくお願いします。
さっそくですが、やっと職場の雰囲気に慣れてきたこの頃…
新人研修として
日本野鳥の会自然保護事業の一端を体験し、さらなる理解を深めるために
7月某日、北海道のサロベツ湿原 チュウヒ繁殖・生息調査の補助に行ってきました。

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当会では平成19年度より、絶滅の恐れのある種(レッドデータ種)の現状について情報を収集するとともに、従来からあまりデータのない特定種の生息分布や繁殖状況、生息環境等に関して、調査を進めています。
この特定種としてチュウヒの情報収集と調査を行なっています。
チュウヒは以前絶滅危惧U類の鳥でしたが、2006年12月に発表された環境省のレッドデータリストでは絶滅危惧TB類(近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの)となり、近年はさらに生息状況が悪化したとされています。
チュウヒってどんな鳥?
https://www.wbsj.org/activity/conservation/endangered-species/cs_hog/cs_whatis/

チュウヒの繁殖環境を明らかにし、生息環境保全の基礎資料を作成するために、予め現地の方がつけた定点から望遠鏡や双眼鏡を用いて展望台などから静かに観察。チュウヒには内緒で見るので、こっそりです。

初めて観察するチュウヒ。他のタカ類より大きめな翼を持つ凛々しさに対し顔立ちはかわいらしいものでした。
双眼鏡を使い注意深く観察をしていると、さすがの視力から、超遠距離にもかかわらずこちらを完全に把握され目が合います。(もちろん影響の少ない距離を置いてます)
今思い返すと気のせいだったかもしれません。アイドルのコンサートで目が合ったとはしゃいでも、アイドル本人は認識していないあの現象のようです。

そしてチュウヒの特徴のひとつ、横顔はタカに似ているのですが、正面から見た顔がまるでフクロウのように平らでかわいい。どうやらそのお顔のお陰で耳が良いとも言われています。

観察ポイントは主にチュウヒの行動です。
例えば飛び方、餌を探しているとき上昇気流に乗りほとんど羽ばたかずグライドし顔は真下を見て低空飛行する姿や、餌を得たあと餌を掴んだ足がぷらーんと出ていて前を向いてまっすぐ飛んでいる姿など見逃さないようにしました。それを追えばメスにたどり着き、メスを追えば巣がわかります。

メスは巣から少し離れたポイントで(特定を防ぐために)見張りを続け、オスは狩りに出かけています。
捕ってきたネズミなどの餌はメスに合図をしたのち上空から投げ空中キャッチ!
それが一瞬の出来事にもかかわらずとてもダイナミックなものに写りました。
息をぴったり合わせて餌渡し。夫婦愛を感じます…

このように繁殖や行動を調べ、地域によって生息場所の状況が違うチュウヒがどのような環境を好むのかを明らかにしなければなりません。
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↗これは望遠鏡(60倍)越しにスマートフォンで撮影したチュウヒのメスです!
同じ場所に20分ほどまったく動かず留まっていました。(このあとオスがきて一緒にどこかへ飛んでいきました)

我々はだいたい朝5時くらいからお昼の1時過ぎまで、観察をしました。
ずっとチュウヒが飛び続けているわけではなく、7~8時間のうち多くて20回くらい会えるペースです。場所や天候によっては一度も現れないことも。
一瞬たりとも休めずひたすら探しましたので、初めて調査をした私でさえ4日目、5日目には瞳に付いたホコリくらいのサイズのチュウヒを見つけることができるようになり、暫く追っては記録を繰り返し続けました。

狭い場所で身動きもせず同じことを何日も続けたせいか帰るころには足腰がバキバキでした。
しかしまた、来年もチュウヒが同じ場所で暮らせますように
私はグッズ販売のお仕事ですが北海道サロベツ湿地で見た豊かな自然を思い出すと
再び自分の仕事のやりがいを感じれる、そんな貴重な体験ができました。

次にどこかでまたチュウヒを見かけたらきっとすぐチュウヒがわかると思います。



posted by Wild Bird at 13:48| スタッフの活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする